選択したSnapshotコピーを別のStorage Virtual Machine(SVM)またはクラスタ上のバージョンに依存しないSnapMirrorデスティネーション ボリュームにレプリケートすることでデータを保護することができます。
始める前に
- このタスクをクラスタで実行するにはクラスタ管理者の権限が、SVMで実行するにはSVM管理者の権限が必要です。
- プライマリ ボリュームとセカンダリ ボリュームが異なるSVMに存在する場合は、それらのSVMのピア関係が確立されている必要があります。
プライマリ ボリュームとセカンダリ ボリュームが異なるクラスタに存在する場合は、それらのクラスタのピア関係が確立されている必要があります。
ピア関係の作成については、『clustered Data ONTAP システム アドミニストレーション ガイド(クラスタ管理)』を参照してください。
- バージョンに依存しないSnapMirrorポリシーが必要です。
バージョンに依存しないSnapMirrorポリシーを作成するか、既存のポリシー(MirrorAllSnapShots、MirrorLatest、またはMirrorAndVault)を使用する必要があります。
バージョンに依存しないSnapMirrorポリシー ルールにラベルが設定されているSnapshotコピーだけが、バージョンに依存しないSnapMirror処理でレプリケートされます。この動作は、mirror-vaultタイプのSnapMirrorポリシーが設定された関係に適用されます。
- プライマリ ボリュームに割り当てるSnapshotポリシーにsnapmirror-label属性を含める必要があります。
volume snapshot policy createコマンドを使用して新しいSnapshotポリシーを作成するか、volume snapshot policy modifyコマンドを使用して既存のポリシーを変更します。snapmirror-label属性には、バージョンに依存しないSnapVaultセカンダリ ボリュームにバックアップする一連のSnapshotコピーのラベルを設定します。プライマリ ボリュームにあるその他のSnapshotコピーは、バージョンに依存しないSnapMirror関係で無視されます。
- 大量のデータを含むベースラインSnapshotコピーの転送には時間がかかることがあるため、その時間を見込んでおく必要があります。
手順
- デスティネーションSVMで、ボリュームのタイプをDPにしてSnapMirrorデスティネーション ボリュームを作成します。
FlexVolの作成については、『clustered Data ONTAP システム アドミニストレーション ガイド(クラスタ管理)』を参照してください。
- ソースSVMで、Snapshotコピー ポリシーを作成し、snapmirror-label属性にラベルを指定したSnapshotコピーの実行スケジュールを追加します。
snapmirror-labelパラメータを指定したvolume snapshot policy createコマンドを使用できます。
例
次に、
「keep-more-snapshot」という名前のSnapshotコピー ポリシーを作成するコマンドを示します。
vserverB::> snapshot policy create -vserver vs1 -policy keep-more-snapshot
-enabled true -schedule1 weekly -count1 2 -prefix1 weekly -snapmirror-label1
all_source_snapshots -schedule2 daily -count2 6 -prefix2 daily
-snapmirror-label2 all_source_snapshots -schedule3 hourly -count3 8
-prefix3 hourly -snapmirror-label3 all_source_snapshots
新しいSnapshotポリシーの
snapmirror-label属性には、バージョンに依存しないSnapMirrorポリシーの
snapmirror-label属性と同じ名前を指定する必要があります。これにより、プライマリ ボリュームで以降に作成されるすべてのSnapshotコピーに、バージョンに依存しないSnapMirrorポリシーで指定したラベルが設定されるようになります。
デフォルトのSnapshotコピー ポリシーには、dailyとweeklyの2つのSnapMirrorラベル属性が関連付けられています。
- snapmirror policy createコマンドを使用して、バージョンに依存しないSnapMirrorポリシーを作成します。
例
次に、SnapMirror形式のディザスタ リカバリで使用する、
「vserverB-DR-policy」という名前のバージョンに依存しないSnapMirrorポリシーを作成するコマンドを示します。このポリシーでは、SnapMirrorで作成されたSnapshotコピーだけが転送されます。
vserverB::> snapmirror policy create -vserver vserverB -policy vserverB-DR-policy
-policy-type async-mirror -comment "DR policy"
例
次に、SnapMirror形式のディザスタ リカバリで使用する
「vserverB-asyncDR-policy」という名前のバージョンに依存しないSnapMirrorポリシーを作成するコマンドを示します。このポリシーでは、ソースのすべてのSnapshotコピーが転送されます。
vserverB::> snapmirror policy create -vserver vserverB -policy vserverB-asyncDR-policy
-policy-type async-mirror -comment "Async DR policy"
例
次に、同じボリュームのSnapMirrorとSnapVaultの両方の関係で使用する
「vserverB-SM-SV-policy」という名前のバージョンに依存しないSnapMirrorポリシーを作成するコマンドを示します。
vserverB::> snapmirror policy create -vserver vserverB -policy vserverB-SM-SV-policy
-policy-type mirror-vault -comment "SnapMirror and SnapVault combo policy"
- snapmirror policy add-ruleコマンドを使用して、作成したバージョンに依存しないSnapMirrorポリシーにsnapmirror-label属性を追加します。
例
SnapMirrorで作成されたSnapshotコピーを転送し、コピーを1つだけ保持するようにSnapMirrorポリシーで指定しているため、追加のルールは必要ありません。
例
次に、vserverB-asyncDR-policyにルールを追加するコマンドを示します。このルールでは、ラベルが
「sm_created」および
「all_source_snapshots」を転送し、それぞれコピーを1つ保持するように指定しています。
vserverB::> snapmirror policy add-rule -vserver vserverB -policy
vserverB-asyncDR-policy -snapmirror-label all-source-snapshots -keep 1
例
次に、vserverB-SM-SV-policyにルールを追加するコマンドを示します。これらのルールでは、ラベルが
「sm_created」、
「daily」、および
「weekly」のSnapshotコピーを転送し、
「sm_created」は1個、
「daily」は20個、
「weekly」は26個のコピーを保持するようにそれぞれ指定しています。
vserverB::> snapmirror policy add-rule -vserver vserverB -policy
vserverB-SM-SV-policy -snapmirror-label sm_created -keep 1
vserverB::> snapmirror policy add-rule -vserver vserverB -policy
vserverB-DR-policy -snapmirror-label daily -keep 20
vserverB::> snapmirror policy add-rule -vserver vserverB -policy
vserverB-DR-policy -snapmirror-label weekly -keep 26
- デスティネーションSVMで、type XDPパラメータとpolicyパラメータを指定したsnapmirror createコマンドを使用して、バージョンに依存しないSnapMirror関係を作成してバージョンに依存しないSnapMirrorポリシーを割り当てます。
パスの指定で単一の名前を指定した場合、コマンドを実行するSVMのボリューム名と解釈されます。別のSVMまたはクラスタのボリュームを指定するには、完全パス名を指定する必要があります。
例
次に、
SVM 「vserverA」のソース ボリューム
「srcvolA」と
SVM 「vserverB」の空のデスティネーション ボリューム
「dstvolB」の間に、バージョンに依存しないSnapVault関係を作成するコマンドを示します。この例では、バージョンに依存しないSnapMirrorポリシー
「vserverB-DR-policy」を割り当て、
「daily」スケジュールを使用します。
vserverB::> snapmirror create -source-path vserverA:srcvolA
-destination-path vserverB:dstvolB -type XDP -policy
vserverB-DR-policy -schedule daily
他のバージョンに依存しないSnapMirrorポリシーを使用してバージョンに依存しないSnapMirror関係を作成する場合は、同じコマンド構文を使用し、ポリシー名を使用するポリシーの名前に置き換えます。
- デスティネーションSVMで、snapmirror initializeコマンドを使用してバージョンに依存しないSnapMirror関係を初期化し、ベースライン転送を開始します。
このコマンドは、新しいSnapshotコピーを作成してデスティネーション ボリュームに転送します。転送されたコピーは、以降の増分Snapshotコピーのベースラインとして使用されます。現在ソース ボリュームにあるSnapshotコピーは使用されません。
注: 大量のデータを含むベースラインの作成には数時間かかることがあります。
例
次に、関係の初期化を開始するコマンドを示します。ベースラインSnapshotコピーが作成され、
SVM「vserverB」のデスティネーション ボリューム
「dstvolB」に転送されます。
vserverB::> snapmirror initialize -destination-path
vserverB:dstvolB