災害が発生した場合のデータ保護ミラー関係の反転

災害によってデータ保護ミラー関係のソースFlexVolが機能しなくなった場合は、デスティネーションFlexVolを使用して、ソースの修理または交換中にデータを提供し、ソースを更新して、システムの元の構成を再確立できます。

このタスクについて

以下の手順では、ソース ボリュームとデスティネーション ボリュームが別々のStorage Virtual Machine(SVM)上にあるデータ保護ミラー関係について説明します。SVM ソース クラスタとデスティネーション クラスタ、およびソースSVMとデスティネーションSVMでピア関係が確立されています。元のソース(災害で使用できなくなるボリューム)はvs1:volAで、元のデスティネーションはvs2:volBです。

ソースが利用不能に陥る前にSnapMirrorで最後に予定されていたSnapshotコピーのすべてのデータ、および、vs2:volBが書き込み可能な状態になってから書き込まれたすべてのデータが維持されます。最後のSnapMirror Snapshotコピー以降、vs1:volAが利用不能になるまでの間にvs1:volAに書き込まれたデータは一切維持されません。

ディザスタ リカバリ時におけるInfinite Volumeからのデータの読み出しについては、『Clustered Data ONTAP Infinite Volumes Management Guide』を参照してください。

手順

  1. データの提供を継続するために、元のソース ボリュームを一時的に読み取り専用のデスティネーション ボリュームにし、データ保護ミラー関係を逆にします。
    ソースvs1:volAがリカバリ可能であり、データの損失がない場合は、次の手順を実行します。
    1. ソース ボリューム(この場合、vs1:volA)が使用できなくなったあと、デスティネーション ボリュームvs2:volBsnapmirror breakコマンドを使用して、デスティネーション ボリュームvs2:volBを書き込み可能にします。
      vs2::> snapmirror break vs2:volB
    2. ソース ボリュームvs1:volAのクライアントを新しいソース ボリュームvs2:volBにリダイレクトします。
      vs1:volAの元のクライアントはvs2:volBにアクセスして書き込みます。
    3. デスティネーション ボリュームvs2:volBで、snapmirror deleteコマンドを使用して、ソースvs1:volAとデスティネーションvs2:volBの間のデータ保護ミラー関係を削除します。
      vs2::> snapmirror delete vs2:volB
    4. ソース ボリュームvs1:volAで、snapmirror releaseコマンドを使用して、ソースからデータ保護ミラー関係の情報を削除します。
      vs1::> snapmirror release vs2:volB
    5. 新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAで、snapmirror createコマンドを使用して、vs2:volBが新しいソース、vs1:volAが新しいデスティネーションであるミラー関係を作成します。
      vs1::> snapmirror create vs2:volB vs1:volA -type DP
    6. 元のソース ボリュームvs1:volAにLUNがある場合は、lun unmapコマンドを使用してマッピングを削除します。
    7. 新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAで、snapmirror resyncコマンドを使用して、vs1:volAvs2:volBを再同期します。
      vs1::> snapmirror resync vs1:volA 
    8. LUNを使用していた場合は、lun mapコマンドを使用して、新しいソースvs2:volBに対してLUNをマッピングします。
    ソースvs1:volAがリカバリ不能である場合は、次の手順を実行します。
    1. ソース ボリューム(この場合、vs1:volA)が使用できなくなったあと、デスティネーション ボリュームvs2:volBsnapmirror breakコマンドを使用して、デスティネーション ボリュームvs2:volBを書き込み可能にします。
      vs2::> snapmirror break vs2:volB
    2. ソース ボリュームvs1:volAのクライアントを新しいソース ボリュームvs2:volBにリダイレクトします。
      vs1:volAの元のクライアントはvs2:volBにアクセスして書き込みます。
    3. デスティネーション ボリュームvs2:volBで、snapmirror deleteコマンドを使用して、ソースvs1:volAとデスティネーションvs2:volBの間のデータ保護ミラー関係を削除します。
      vs2::> snapmirror delete vs2:volB
    4. ソースSVM vs1で、snapmirror releaseコマンドを使用して、ソースからデータ保護ミラー関係の情報を削除します。
      ソース ボリュームがリカバリ不能である場合でも、データ保護ミラー関係は維持されているので、削除する必要があります。
      vs1::> snapmirror release vs2:volB
    5. 古いボリュームvolAを削除し、volume createコマンドを使用してvs1:volAという新しいデータ保護のデスティネーション ボリュームを作成します。
      注: デスティネーション ボリュームの作成時、必ず-type DPパラメータを使用してください。
      vs1::> volume delete -volume vs1:volA
      vs1::> volume create -volume volA -aggr aggr1 
      -type DP -vserver vs1
    6. 新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAで、snapmirror createコマンドを使用して、vs2:volBが新しいソース ボリューム、vs1:volAが新しいデスティネーション ボリュームであるデータ保護ミラー関係を作成します。
      vs1::> snapmirror create vs2:volB vs1:volA -type DP
    7. 新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAで、snapmirror initializeコマンドを使用して、データ保護ミラー関係のベースラインを作成します。
      また、このコマンドによりvs1:volAは読み取り専用のデスティネーションとなります。
      vs1::> snapmirror initialize vs1:volA
    8. LUNを使用していた場合は、lun mapコマンドを使用して、新しいソースvs2:volBに対してLUNをマッピングします。

    この構成を維持することも、元のソース ボリュームに関する問題の解決後、以下の手順を実行して、元のデータ保護ミラー関係を再確立することもできます。

  2. 新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAで、snapmirror updateコマンドによって新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAを更新して、新しいソース ボリュームvs2:volBから最新データを転送します。
    vs1::> snapmirror update vs1:volA
  3. 新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAで、snapmirror breakコマンドを使用して、vs1:volAを書き込み可能にします。
    vs1::>> snapmirror break -source-path vs2:volB -destination-path vs1:volA
  4. 新しいデスティネーション ボリュームvs1:volAで、snapmirror deleteコマンドを使用して、新しいソースvs2:volBと新しいデスティネーションvs1:volAの間のデータ保護ミラー関係を削除します。
    vs1::> snapmirror delete vs1:volA
  5. 新しいソース ボリュームvs2:volBで、snapmirror releaseコマンドを使用して、新しいソースvs2:volBと新しいデスティネーションvs1:volAの間のデータ保護ミラー関係を削除します。
    vs2::> snapmirror release vs1:volA
  6. 元のデスティネーション ボリュームvs2:volBで、snapmirror createコマンドを使用して、vs1:volAがソース、vs2:volBがデスティネーションである元のデータ保護ミラー関係を再作成します。
    vs2::> snapmirror create vs1:volA vs2:volB -type DP
  7. ソースvs2:volBにLUNがある場合は、lun unmapコマンドを使用してマッピングを削除します。
  8. 元のデスティネーション ボリュームvs2:volBで、snapmirror resyncコマンドを使用して、元のソース ボリュームと元のデスティネーション ボリュームを再同期します。
    vs2::> snapmirror resync vs2:volB 
  9. クライアントをvs2:volBから元のソース ボリュームvs1:volAにリダイレクトし直します。
  10. LUNを使用していた場合は、元のソースvs1:volAにマッピングし直します。