クォーラムとイプシロンは、クラスタの健常性と機能を判断するための重要な基準で、通信および接続に関する潜在的な問題へのクラスタの対応を決定します。
クォーラムは、クラスタが完全に機能するための前提条件です。クラスタがクォーラムを構成している場合は、過半数のノードが正常で、相互に通信可能です。クォーラムが失われると、クラスタは通常のクラスタ処理を実行できなくなります。すべてのノードが1つのまとまりとしてデータの単一のビューを共有するため、任意の時点において1つのノードの集まりだけがクォーラムを構成することができます。つまり、通信が確立されていない2つのノードが異なる方法でデータを変更できる場合には、データを1つのデータ ビューに表示できなくなります。
クラスタ内の各ノードはノード マスターを選出する投票プロトコルに属しており、マスター以外の各ノードはセカンダリとなります。 マスター ノードは、クラスタ内に情報を同期する役割を担います。形成されたクォーラムは継続的な投票によって維持され、マスター ノードがオフラインになると、オンラインのノードによって新しいマスターが選出されます。
ノード数が偶数のクラスタの場合は同票となる可能性があるため、イプシロンと呼ばれる追加の投票荷重が設定されたノードが1つあります。大規模なクラスタの同じ数のノード間で接続障害が発生した場合、すべてのノードが正常であることを条件に、イプシロンが設定されたノードのグループがクォーラムを維持します。 たとえば、ある列の12のノードと別の列の12ノード間が1つのリンクで接続されている24ノードのクラスタでリンク障害が発生した場合、イプシロンを保持するノードのグループがクォーラムを維持してデータを提供し続け、残りの12ノードはデータの提供を停止します。 ただし、イプシロンを保持するノードが異常またはオフラインの場合は、クォーラムが形成されず、すべてのノードがデータの提供を停止します。
クラスタが作成されると、自動的に最初のノードにイプシロンが割り当てられます。 クラスタがクォーラムを構成しているかぎり、イプシロンを保持するノードで障害が発生したり、高可用性パートナーにテイクオーバーされた場合、イプシロンは正常なノードに再割り当てされます。
一般的に、クラスタのノード間に信頼性のある接続が確立されている場合には、小規模のクラスタよりも大規模のクラスタの方が安定します。ノードの半数にイプシロンを加えた過半数のクォーラムの要件は、2ノードのクラスタよりも24ノードのクラスタの方が簡単に維持することができます。
2ノードのクラスタでは、クォーラムの維持に独特な課題が存在します。2ノード クラスタでは、どちらのノードにもイプシロンは設定されません。代わりに、両方のノードが継続的にポーリングされ、1つのノードに障害が発生した場合には、もう一方のノードが、論理インターフェイスと管理機能へのアクセスに加えてデータへの完全な読み取り / 書き込みアクセスを提供します。