データ保護を提供するには、一方のクラスタのすべてのインタークラスタLIFが、ペアワイズのフルメッシュ接続を使用して他方のクラスタのすべてのインタークラスタLIFと通信できる必要があります。この接続が、異なるクラスタ トポロジに対してどのように動作するかを理解する必要があります。
ペアワイズのフルメッシュ接続は、ピア関係にある2つのクラスタにのみ適用されます。一方のクラスタのすべてのノードのすべてのインタークラスタLIFが、他方のクラスタのすべてのノードのすべてのインタークラスタLIFと通信できる必要があります。特定のインタークラスタLIFを、特定のクラスタ ピア関係に対して動作するように指定することはできません。
インタークラスタLIFは、単一のノードまたはクラスタ内の異なるサブネット上に設定できます。 設定するネットワーク インタークラスタLIFまたはクラスタ間通信に使用するネットワーク数に制限はありません。
ペアワイズのフルメッシュ接続の概念を理解することは、より複雑なクラスタ ピア トポロジを構築するうえで役立ちます。この接続が、2つのクラスタ、クラスタ カスケード、クラスタ ファンアウトまたはファンインの各トポロジに対してどのように動作するかを理解しておくことで、不要なクラスタ間ネットワークを追加することなく、実現可能なクラスタ間ネットワークを構築することができます。
2つのクラスタ間でのクラスタ間ネットワークの作成は、基本的なクラスタ ピア設定です。たとえば、クラスタAとクラスタBの2つのクラスタ間で、クラスタ間ネットワークを作成するとします。クラスタAにはA1とA2の2つのインタークラスタLIFがあり、クラスタBにはB1とB2の2つのインタークラスタLIFがあります。このとき、LIFは次のように接続されます。
カスケード内の3つのクラスタを接続する場合、プライマリ クラスタのすべてのインタークラスタLIFが、セカンダリ クラスタのすべてのインタークラスタLIFと通信できる必要があります。同様に、セカンダリ クラスタのすべてのインタークラスタLIFが、ターシャリ(3番目)クラスタのすべてのインタークラスタLIFと通信できる必要があります。プライマリ クラスタとターシャリ クラスタをクラスタ ピア関係で接続しない場合、この2つのクラスタの間にクラスタ間ネットワークを作成する必要はありません。
たとえば、クラスタAとクラスタBの間にクラスタ間ネットワークを作成し、クラスタBとクラスタCの間にクラスタ間ネットワークを作成するとします。クラスタAにはA1とA2の2つのインタークラスタLIFが、クラスタBにはB1とB2の2つのインタークラスタLIFが、クラスタCにはC1とC2の2つのインタークラスタLIFがあります。このときに、クラスタAとクラスタBの間のインタークラスタLIFは次のように接続されます。
クラスタBとクラスタCの間のインタークラスタLIFは次のように接続されます。
セカンダリ クラスタで問題が発生したときにはターシャリ クラスタをプライマリ クラスタと接続する、クラスタ カスケードを設定する場合があります。たとえば、プライマリ クラスタとセカンダリ クラスタとの間にディザスタ リカバリ関係があり、セカンダリ クラスタとターシャリ クラスタとの間にバックアップ関係がある場合、セカンダリ クラスタに何か起きたときはターシャリ クラスタがプライマリ クラスタと通信するようにします。このような設定を希望する場合、ターシャリ クラスタのすべてのインタークラスタLIFが、プライマリ クラスタのすべてのインタークラスタLIFと通信できる必要があります。そのため、前述の接続に加えて、クラスタCとクラスタAの間に次のインタークラスタLIF接続が必要です。
ファンアウトまたはファンイン構成でクラスタを接続する場合、プライマリ クラスタに接続する各クラスタのインタークラスタLIFが、プライマリ クラスタのすべてのインタークラスタLIFと通信できる必要があります。リモート クラスタが相互に接続する必要がない場合、リモート クラスタ間でインタークラスタLIFを接続する必要はありません。
たとえば、クラスタAとクラスタBの間にクラスタ間ネットワークを作成し、クラスタAとクラスタCの間にクラスタ間ネットワークを作成するとします。クラスタAにはA1とA2の2つのインタークラスタLIFが、クラスタBにはB1とB2の2つのインタークラスタLIFが、クラスタCにはC1とC2の2つのインタークラスタLIFがあります。このときに、クラスタAとクラスタBの間のインタークラスタLIFは次のように接続されます。
この場合、クラスタAとクラスタCの間のインタークラスタLIFは次のように接続されます。
クラスタBはクラスタCに接続されません。
ファンインまたはファンアウト構成に加えて、2つのリモート クラスタ間にもクラスタ ピア関係が必要な場合、ペアワイズのフルメッシュ接続の概念を使用してクラスタ間ネットワークを作成します。
クラスタ間ネットワークを専用の用途に使用する場合は、ルータを使用できます。ルータは、ルータ用に設定したネットワークを介してデータを転送でき、ピア クラスタ上の各インタークラスタLIFにルータを接続する必要はありません。ルータを使用する例として、1つのクラスタ間ネットワークをローカルのバックアップ用とし、もう1つのクラスタ間ネットワークをストレージ サービス プロバイダ用にする場合があります。次の例で、クラスタBとクラスタCをピアリングしない場合、ルータで、クラスタBとクラスタCのインタークラスタLIF間の通信をすべて禁止できます。