Data ONTAPでは、FlexVolがスペース不足になると、該当するボリュームにスペースを追加して対処できるようにEMSメッセージが表示されます。アラートの種類とその対処方法を理解しておくと、データの可用性を維持するのに役立ちます。
ボリュームがフルとみなされるのは、アクティブ ファイルシステム(ユーザ データ)で使用可能なボリュームのスペースの割合がしきい値(設定可能)を下回った場合です。ボリュームが過剰割り当ての状態になると、メタデータを格納したり基本的なデータ アクセスをサポートしたりするためにData ONTAPで使用されるスペースが不足した状態になります。他の目的のために確保されているスペースを使用してボリュームを引き続き利用できる場合もありますが、リザベーションやデータの可用性を維持できなくなるリスクがあります。
過剰割り当てには、論理的なものと物理的なものがあります。論理的な過剰割り当ては、将来のコミット(ファイル リザベーションなど)のために確保されているスペースが他の目的に使用された状態を示します。物理的な過剰割り当ては、ボリュームで使用する物理ブロックが不足した状態を示します。この状態のボリュームには、書き込みができなくなったり、オフラインになったりするリスクがあり、これが原因でコントローラが停止してしまう可能性もあります。
ボリュームはメタデータ用に使用または確保されているスペースによって100%を超えることがありますが、100%を超えているからといって必ずしも過剰割り当ての状態であるとは限りません。
次の表に、ボリュームのスペース不足アラートと過剰割り当てアラートについて、それぞれの問題への対処方法と対処しなかった場合のリスクを示します。
アラートの種類 | EMSレベル | 設定の可否 | 定義 | 対処方法 | 対処しなかった場合のリスク |
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ほぼフル | デバッグ | Y | ファイルシステムがこのアラートのしきい値(デフォルト値は95%)を超えています。
この割合は、Usedの合計からSnapshotリザーブのサイズを引いた値です。 |
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書き込み処理やデータ可用性に対する影響はまだありません。 |
フル | デバッグ | Y | ファイルシステムがこのアラートのしきい値(デフォルト値は98%)を超えています。
この割合は、Usedの合計からSnapshotリザーブのサイズを引いた値です。 |
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書き込み処理やデータ可用性に対する影響はまだありませんが、もう少しで書き込み処理ができなくなるリスクがあります。 |
論理的な過剰割り当て | SVCエラー | N | ファイルシステムがフルの状態で、さらにメタデータ用のボリュームのスペースが不足しています。 |
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リザーブされていないファイルに対する書き込み処理が失敗する可能性があります。 |
物理的な過剰割り当て | ノード エラー | N | ボリュームで書き込み可能な物理ブロックが不足しています。 |
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書き込み処理ができなくなり、データの可用性を維持できなくなるリスクがあり、ボリュームがオフラインになる可能性もあります。 |
あるボリュームで、フルの割合が上下してしきい値にかかるたびに、EMSメッセージが生成されます。 ボリュームのフル レベルがしきい値を下回ると、「volume ok」というEMSメッセージが生成されます。